評価損(格落ち損)は請求できる?認められる条件と相場を弁護士が解説

この間の事故で、車が結構な損傷を受けちゃった。

修理してちゃんと直ったけど、買ったばかりなのに、なんかディーラーの方から、車の価値下がってますって言われて、辛い…

それは辛いですね。

でも、まだ諦めるのは早いですよ。

車の価値が下がったことで評価損というのが請求できるらしいわ。

一度、弁護士に相談してみれば。

そうなの?

一度、弁護士に相談してみるか。

この記事でわかること

  • 評価損(格落ち損)とは何か
  • 請求が認められる4つの要素
  • 相場(修理費の5〜30%)と具体的な計算例
  • 最新の裁判例の動向
  • 請求の手続きの流れ
  • よくある質問への回答
📌 結論 交通事故の評価損(格落ち損)は、次の要素を満たせば請求できる可能性があります。 
・車の骨格部分に損傷が生じた(修復歴が残る) 
・初度登録から国産車3年・外国車5年以内 
・走行距離が国産車4万km・外国車6万km以内相場は修理費の5〜30%。たとえば修理費100万円なら、5〜30万円が目安になります。ただし、保険会社は評価損の支払いを拒否することが多く、請求には裁判例等に基づく交渉が必要です。

評価損(格落ち損)とは

評価損とは、一般に、事故当時の車両価格と修理後の車両価格との差額をいうとされています。

損害賠償算定基準(いわゆる「赤い本」)では、評価損は、修理しても外観や機能に欠陥を生じ、または、事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合に認められるとされています。

【関連記事】赤い本とは?交通事故の損害賠償の基準書について弁護士が解説

つまり、修理して元通りに見えても、事故車として扱われることで中古車市場での価値が下がる場合、その差額を損害として請求できるというのが評価損の考え方です。

評価損が認められる4つの要素

裁判例の傾向をまとめると、評価損が認められるかどうかは、次の5つの要素で判断されます。

判断要素認められやすい条件
①損傷の程度骨格(フレーム)部分まで損傷
②修理費の額30万円以上(目安)
③初度登録からの経過期間国産車3年以内・外国車5年以内
④走行距離国産車4万km以内・外国車6万km以内

これらの要素を満たせば、評価損が認められる可能性が高まり、骨格損傷あり、初度登録から期間が短いなどであれば、認められる金額が大きくなります。逆に、登録から10年経過した軽自動車で外板のみの損傷といったケースでは、評価損は認められにくいでしょう。

特に重要な「骨格損傷」について

4つの要素のうち特に重要なのは、②損傷の程度(骨格損傷の有無)です。

車の「骨格部分」とは、フレーム、サイドメンバー、クロスメンバー、ルーフパネル、ピラー、トランクフロアパネルなど、車体の構造を支える中核部分を指します。これらの部分に損傷が及んだ場合、修理しても「修復歴あり」と表示され、中古車市場での評価が大きく下がります。

一方、ドア、バンパー、フェンダーなどの外板(外装部品)のみの損傷は、修復歴として扱われないため、市場価値への影響が限定的です。このため、外板のみの損傷では、裁判所も評価損を認めにくい傾向があります。

実際の裁判例でも、この「骨格損傷があるかどうか」が結論を分ける決定的要素となっています。

もっとも、骨格損傷がない場合でも評価損が認められるケースはありますので、まずはご相談ください。

【セルフチェック】あなたのケースは認められる?

以下の項目に当てはまると、評価損が認められる可能性があります。

該当する項目にチェック
☐  車の骨格(フレーム)部分に損傷がある
☐  修理費が30万円以上かかった
☐  初度登録から国産車は3年以内(外国車は5年以内)
☐  走行距離が国産車4万km以内(外国車6万km以内)

以上の項目に当てはまる場合は、評価損が認められる可能性があります。 ただし、保険会社との交渉は専門知識が必要です。一度、弁護士にご相談ください。

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評価損の相場と計算方法

裁判例では、評価損は修理費の5〜30%の範囲で認定されることがほとんどです。具体的な金額イメージは以下のとおりです。

修理費評価損の目安(5〜30%)
50万円2万5000円 〜 15万円
100万円5万円 〜 30万円
150万円7万5000円 〜 45万円

パーセンテージは、4つの要素を総合して判断されます。骨格損傷あり・初度登録2年・高級外車といった好条件が揃えば30%に近づき、逆に条件が弱ければ5%程度にとどまります。

なお、この相場は「裁判になった場合」の目安です。示談段階では、保険会社は評価損の支払いを拒否することが多く、相場通りの金額を得るためには弁護士による交渉や訴訟提起が必要になるケースが少なくありません。

最新裁判例の動向

参考判例①:東京地判令和5年4月13日(評価損が否定された例)

「控訴人車は、平成26年3月に初度登録された国産車であり、令和2年3月25日時点の走行距離が7万2200kmであったことが認められる(甲3)一方、控訴人車の骨格基幹部分に損傷が生じたことを認めるに足りる証拠がないことも考慮すれば、評価損は認められないというべきである。」(事故日:令和2年10月2日)

【解説】 この判例では、国産車で初度登録から約6年(目安の3年を大きく超過)、走行距離7万km超(目安の4万km超過)、さらに骨格損傷も認められないという三重の要素不備で、評価損が否定されました。セルフチェックの項目がほぼ該当しないケースといえます。

参考判例②:東京地判令和5年1月11日(評価損が認められた例)

「原告車は、BMW製の「523D TOURING」であり、初度登録は平成30年12月、本件事故までの走行距離は2万1334kmであったこと(前提事実(4)ア)を踏まえると、本件事故による評価損が生じていると認められる。そして、その額は、上記初度登録から本件事故までの時間的経過、本件事故までの走行距離等を踏まえると、上記ア記載の修理費の1割相当である15万6360円と認めるのが相当である。」(事故日:令和3年8月25日、修理費 156万3606円)

【解説】 外国車・初度登録から2年8か月・走行距離約2万kmと好条件でしたが、骨格部分までの損傷が認定できなかったため、修理費の1割(10%)での認定となりました。骨格損傷があればさらに高い%が認められた可能性が高いケースです。なお、骨格損傷がない場合の評価損認容は珍しく、本件は車種・年式・走行距離の好条件が考慮された判断と思われます。

⚖️ 実務上のポイント2つの判例から、「骨格損傷の有無」が認容金額の%を大きく左右することがわかります。ディーラーや整備工場に修理箇所を詳細に確認し、証拠化しておくことが重要です。

評価損を請求する手続きの流れ

評価損を請求するには、次の5つのステップが必要です。

  1. 証拠の収集:ディーラーや中古車買取店による査定書、修理工場の修理明細書、事故車両の写真などを準備します。
  2. 保険会社への請求:加害者側の保険会社に対し、証拠を添付して評価損を請求します。
  3. 交渉:保険会社は拒否することが多いため、裁判例に基づいて粘り強く交渉します。
  4. 訴訟提起の検討:示談が成立しない場合、簡易裁判所または地方裁判所に訴訟を提起します。
  5. 判決・和解:審理の結果、裁判所が評価損の有無と金額を判断します。

この一連の手続きを個人で行うのは、専門知識と時間の両面で負担が大きくなります。弁護士に依頼すると、証拠収集から訴訟対応までトータルでサポートを受けられます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 保険会社から「評価損は払えない」と言われました。諦めるしかない?

A. いいえ。保険会社は評価損の支払いを拒否することが多いですが、裁判例等に基づいて請求すれば認められる可能性があります。弁護士が介入すると、示談段階で支払いに応じるケースもあります。

Q2. ディーラーの査定書は必要ですか?

A. あれば有利な証拠になりますが、必須ではありません。中古車業者の査定書や、同車種の相場データでも立証可能です。ただし、複数の査定書を取得すると立証力が増します。

Q3. 物損事故でも弁護士費用特約は使えますか?

A. 使えます。詳しくは「弁護士費用特約とは?メリットを徹底解説」の記事をご参照ください。

Q4. 事故から時間が経っても請求できますか?

A. 物損の損害賠償請求権の時効は3年です。時間が経つほど証拠(査定書、修理履歴等)が集めにくくなるため、早めの相談をおすすめします。

Q5. 自分の過失がある場合も評価損を請求できますか?

A. 請求できますが、過失割合に応じて減額されます。たとえば過失2割なら、評価損30万円のうち24万円の請求となります。

まとめ

  • 評価損は、骨格損傷あり・初度登録から一定期間内などの要素を満たせば請求可能
  • 相場は修理費の5〜30%/裁判例の蓄積が重要
  • 保険会社は支払いを拒否しがちなので、弁護士の介入が有効

「自分のケースは請求できるのか」「いくら取れる可能性があるのか」など、ご心配な点があれば、まずはお気軽にご相談ください。

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