赤い本について

赤い本とは、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が発行する「民事交通事故訴訟・損害賠償算定基準」という本のことを指します。冊子が赤いことからそのまま赤い本と呼ばれています。

交通事故を扱う弁護士なら必ず所持している本で、赤い本の表紙にも弁護士必携と記載があります。この赤い本は毎年改訂され、2月頃に新しい赤い本が販売されています。(一般の書店では取扱いはありません)。


赤い本は、上巻、下巻の2冊構成になっており、上巻(基準編)では、交通事故の損害賠償実務に関する基本的な考え方、賠償額の基準、参考となる多数の裁判例が掲載されています。収録されている裁判例については、過去1年間の裁判例を調査研究し、損害賠償実務に資するものを追加・入替えを行っているようです。


下巻(講演録編)では、東京地方裁判所民事第27部の裁判官の講演録が掲載されています。なお、民事27部というのは東京地裁の交通専門部であり、交通事故しか扱わない部になりますので、交通事故訴訟について、最も多くの事案を処理していると考えられます。そのような専門部の裁判官が毎年特定のテーマについて、研究した内容を発表するもので、個別具体的な争点をどのように考えるべきか非常に参考になります。


下巻については、過去の講演録も含めて、参考にすることが多いです。下巻の講演録をまとめたのとして、「損害賠償の諸問題Ⅳ赤い本裁判官講演録合本」(2005年版~2009年版を収録したもの)が販売されています。

2005年以前の講演録を読みたいこともあるのですが、現在は販売されていませんので、私は図書館等で調べることがあります。