評価損(格落ち損)とは?徹底解説!!

この間の事故で、車が結構な損傷を受けちゃった。

修理してちゃんと直ったけど、買ったばかりなのに、なんかディーラーの方から、車の価値下がってますって言われて、辛い…

それは辛いですね。

でも、まだ諦めるのは早いですよ。

車の価値が下がったことで評価損というのが請求できるらしいわ。

一度、弁護士に相談してみれば。

そうなの?

一度、弁護士に相談してみるか。

解説

1 評価損の意義

評価損とは、一般に、事故当時の車両価格と修理後の車両価格との差額をいうとされていますが、損害賠償算定基準(赤い本)では、評価損は、修理しても外観や機能に欠陥を生じ、または、事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合に認められるとされています。

以下の裁判例では、事故当時の車両価格と修理後の車両価格との差額での請求は認められないとして、差額の請求は否定されていますが、中古車市場において事故があったことのみを理由に一般的に減価されることは経験則上明らかであるから、事故による評価損は、事故による損傷の程度、初度登録から経過した年数等の具体的事実を検討した上で認められる場合があるとしています。

裁判例(東京地判平12年11月21日)
初度登録から約1年6か月、走行距離1万0536キロメートル、修理費102万2017円かかった高級外車の事案において、原告が、本件事故による事故歴により、原告車は、事故がなかったとした場合の原告車の事故時の査定価格348万2000円から、修理後の査定価格249万5000円を差し引いた差額98万7000円の評価損を請求していました。

「原告は、買い換えを前提として、事故がなかったと仮定した場合の事故時の車両価格と、修理後の車両価格との差額を評価損と主張する。
 中古車市場において事故があったことのみを理由に一般的に減価されることは経験則上明らかであるから、事故による評価損は、事故による損傷の程度、初度登録から経過した年数等の具体的事実を検討した上で認められる場合がある
 この点、右1で認定した事実及び乙九によれば、原告車両につき、フレーム等の車両骨格部分につき損傷があったものとは認められないから、被害者の損害拡大防止義務の観点からして、事故後直ちに車両を買い換えることを被告らに要求できるものとは解されない。
 しかし、直ちに車両の買い換えが認められないとしても、我が国の慣行からして、車検時期には一般に車両の買い換えが検討されることが多いから、将来における買い換えの可能性を前提に評価損を決定することができる。
 本件においては、右1で認定した事実を前提にすると、修理費の30パーセントに相当する30万6605円の評価損を認めるのが相当である。」と判示しています。

評価損は、具体的にどのような要件・基準により認められ、その額をどのように算定するかに関して、現代においてさえ、明確な要件・基準が定まっている状況ではありません。

これまでの裁判例の傾向からすると,車種(いわゆる高級乗用車であるか)、損傷の程度,修理費の額,初度登録からの経過期間,走行距離等を考慮しており、一般的には、高級外国車等では初度登録から5年(走行距離6万㎞)、国産車では3年(4万㎞)を超えると認められにくいと考えられています。
評価損の金額としては、裁判例においては、修理費用の10~30%の範囲内で認定されるものがほとんどです。
損傷の程度が骨格部分まで及んでいて、上記初度登録からの経過期間や走行距離の限度ラインという場合で修理費用の10%が認められるかどうか、そこから、走行距離が短かったり、初度登録からの期間が短ければ、%があげられるという印象です。損傷の程度として、骨格部分にまで損傷が及んでいるかどうかもかなり重要な要素です。これは、骨格部分まで損傷が及んでいる場合は修復歴が残るため、事故車として扱われることになり、市場価値の下落が明確になるからと考えられます。

2 評価損の裁判例

最近の裁判例として以下のものがあります。

裁判例①(東京地判令5年4月13日)
「控訴人車は、平成26年3月に初度登録された国産車であり、令和2年3月25日時点の走行距離が7万2200kmであったことが認められる(甲3)一方、控訴人車の骨格基幹部分に損傷が生じたことを認めるに足りる証拠がないことも考慮すれば、評価損は認められないというべきである。」

裁判例➁(東京地判令5年1月11日)
「原告車は、BMW製の「523D TOURING」であり、初度登録は平成30年12月、本件事故までの走行距離は2万1334kmであったこと(前提事実(4)ア)を踏まえると、本件事故による評価損が生じていると認められる。そして、その額は、上記初度登録から本件事故までの時間的経過、本件事故までの走行距離等を踏まえると、上記ア記載の修理費の1割相当である15万6360円と認めるのが相当である。」(事故日:令和3年8月25日、修理費 156万3606円)

①では、国産車で、初度登録から3年(4万㎞)を明らかに超えた状態であり、骨格部分の損傷もないことから、評価損が否定されてしまっています。➁では外国産車で、初度登録から5年(走行距離6万㎞)の範囲内、約2年8か月、走行距離も2万キロ程度ですが、骨格部分まで損傷が及んでいることが認定できなかったため、修理費の1割程度の認定となった裁判例と考えられます。